【書評】IDの秘密

IDの秘密という本を読んだ。

IDの秘密 (丸善ライブラリー―情報研シリーズ)

IDの秘密 (丸善ライブラリー―情報研シリーズ)

 

 

内容としては、

  • バーコード
  • クレジットカード番号
  • 車のナンバー
  • お札番号
  • 社員番号

のような「物体や人物を一意に識別するための文字列=ID」が、どのような歴史的背景で作られて、どのような規則で付番されているかといった話。バーコード、QRコードICカードなど、IDを読み取るための技術の話。また、各種生体認証の特性に関する話などが書かれていた。

 

個人的に印象に残ったのはココ。

バーコードの歴史

バーコードの起源には諸説ありますが、現在のバーコードに近いバーコードは、1967年にアメリカの大手小売チェーンのクローガー(Kroger)が、商品にバーコードをつけて、レジ作業を効率化したのが最初とされます。当時のアメリカは自動車の普及が進んでおり、たくさん買い物をしても車に詰め込んで帰ればよいため、一度に購入する品数も増えていました。また、消費者の買い物先は徒歩圏を超え、遠方にまで広がりました。この結果、買い物とは徒歩圏内の商店から郊外の大型スーパーマーケットに移りました。しかし、大型のスーパーマーケットは、遠方から人が集まるので客数が多く、お客さんの買う品数が多い。そうなるとレジに並ぶ人が多く、一組のお客さんに対するレジ作業も時間がかかり、その結果、レジには長蛇の列ができていたそうです。そのレジ作業のスピードアップを狙って導入されたのがバーコードでした。

バーコードが普及するタイミングには理由があって、これは他の技術でも同じことが言える。社会的背景と技術の普及との関連が見えたのが学びになった。

 

ちなみに、この後にも

  • 「最初は小売店で付けていたバーコードも、メーカが印刷しておいた方が楽なので、統一的な規格が生まれた」
  • 「別の方法として、商品に金属タグをつけて、レジではタグの重さを金額に変換する方法もあったが普及しなかった」
  • 「レジのPOSデータがメーカの商品開発部へのフィードバックとして使われるようになった」

といったような話があった。

 

技術的に深く込み入った話などはあまり書いていないが、表面的なところにサラッと触れられるので、IDにまつわる歴史や小話を読み物として楽しみたい人にはおすすめできそう。